超基礎 「商取引の上で、日本人のお客様と上手につきあう方法」
(これはニュージランド人向けに書いた基礎手引書です。 あなたの外国の取引相手もあなたを怒り狂わせていませんか?)
ニュージーランドの多くの会社が日本の会社をお客様として商売をしています。 そして殆どの会社のNZ人スタッフは、殆ど同じような理由で、日本のお客様を不愉快な目に会わせています。 もしあなたがお客様の気持ちを害したら、それは継続的商売の終焉に結びつきます。 日本市場での成功の鍵は、日本 の商習慣や文化を学ぶ事であり、「お客様は常に正しい」という事を理解する事です。 外国人にとって、日本人だけが不可解な民族と言うわけではありません。 地球上全ての国民にとって外国人は正体不明です。 米国人にはニュージーランド人のお気楽さは不可解ですし、スペイン人にドイツ人の秩序は理解不能です。 それにつけても、とりわけ日本の文化は他のキリスト教国やアジア周辺各国とは異なります。 それゆえ過去も現在も、数多の問題が日本と外国の会社の間で起きてきました。 この短い文章で私は、ごく基本的な助言を皆さんに差し上げたいと思います。
- もう来るんじゃねぇ 日本のお客様と商売する上で、あなたは、何であれ、ともかく「ガイジン」です。 お客様方は、日本の商習慣や、価値観、文化を共有できない人と仕事する事に、居心地の悪さを感じます。
また、日本の商習慣などを、いちいちガイジンに教える事にも、うんざりしています(商社の社員は例外)。 お客様は「売り込みに来る方が、市場の文化や要求水準を学び、それに従うべきだ」と信じていますから、もし、ガイジンにいちいち日本のやり方や、市
場の要求水準を教える羽目になると、「何でこいつの先生をしなきゃいけないの?」と感じて、商売する意思が大きく減退します。 「そして、もう十分だよ。 もう来るんじゃねぇ!」と感じます。
その人たちは、外国人であるあなたに直接は言いません。 でも、あなたの日本人同僚や日本人代理店などに、あなたの耳に伝わる事を期待して「もう連 れて来るな」と言うのです。
そういう状態になったら、あなたの日本市場での価値は客寄せ珍獣パンダでしかありません。
- あなたはうんざりされている 日本のお客様に、にこやかに応対されても、それを100%信用してはいけません。 時としてそれは仏像に見られる諦観の微笑かもしれません。 あなたが振り回す、あなたの母国の理論や説明にうんざりしたとき、お客様はにっこり笑って「馬鹿」と思うのです。
- お詫びのしかた。 苦情を受けたら、あなたやあなたの会社に責任が有ろうが無かろうが、最初にまず「お詫び」するのが、正しいやり方です。 間違っても、「70%は規格内です」等と言ってはいけません。 まず、お詫びをして、「30%もの規格外れは私どもとしても、恐縮するばかりの有
様です」と言いましょう。 絶対に、特に苦情を受けた初期段階で楽観論を口にしてはいけません。 言ったら最後「この馬鹿は、事の重大さが見えていない」と理解されます。
NZでの最良の説明の方法は日本では最悪の方法になりえます。 西洋では、一言一言が、次の段階での交渉の証拠となりますが、日本では、最初にどう謝罪したかが、あとあとの交渉を左右するのです。
- 値段じゃないのよ 他社の競合商品が安くて性能が良くても、商品を売る事が出来る営業担当者が居ます。 なぜ、その人がそんな事が出来るかと言えば 長期的なランニングコストを考えればトータルで安いから
ブランドに信用があるから
担当者が信用できるから この3番目が日本では大変大事です。 売る側と、お客様の関係が良好でない場合。 あなたが語れるのは「値段」だけです。
- 理解不能と言っては絶対にいけません 日本のお客様はガイジンに、日本の商習慣や文化がわかる訳無いと確信しています。 その上に、あなたが「それは理解不能」などと言おうものなら、お 客様は「あーやっぱり、このガイジンはヤル気が無い」と結論付けます。 絶対これを口にしてはいけません。 多くの日本人は第二次大戦後50年代から70年代に掛けて、輸出産業を伸ばす為に、当時の日本人には難しかった外国文化の理解を懸命に学んで、市場 に受け入れられる製品を作ってきたことを覚えています。 ですから、もしあなたが、単純に「理解不能」等と言おうものなら、あなたには「ヤル気のまるで無い奴」というレッテルが貼られます。
- 日本語を話せば良いってもんじゃなのよ もし、あなたが日本語に堪能なら別の危険性があります。 日本人は日本語を上手に話す人に日本人と同様の価値観や常識を求めます。 たとえて言え ば、もしあなたが日本語を話さないなら、あなたがあなたの国の論理を振り回しても、最初のうちは「あーガイジンだしな」で済む事でしょう。 しかしもしあ なたが上手に日本語を話し、かつ、あなたの国の論理を振り回せば、日本のお客様にはあなたは礼儀を知らない馬鹿者に映ります。 あなたが日本語使う場合、 日本人のロジックを十分勉強しなくてはいけません。
- 高品質国の誇り 日本のいくつかのメーカーは、今パッとしない状況です。 彼らは単純に短期利益の為に品質を落としたたからです。 三菱自動車は典型的一例です。
経営者は何故今まで会社が生き残ってきた理由(高品質、持続的改良、高価値)を忘れてしまったのです。 彼らはいまや過去の会社になってしまいました。
しかし、他の多くの会社は依然、高品質製品のメーカーとして生き残っています。 また国民は貿易戦争の中で生き残るには高品質と納得できる価格事が 重要だと確信しています。
そして、高品質製品を生み出す国民は高品質商品を使用すべきだと感じています。 つまり、日本人はがっかりさせられる低品質品が大嫌いです。
- 最悪の発言 「私は日本(日本人)を良く知っています」 「私は日本人をよく知っています」という言葉は、日本人が外国人から聞きたくない最悪の言葉の一つです。
この一言であなたは社内外の日本人との友好関係をぶち壊しに出来ます。
たとえあなたに日本人の同僚が居ても、あなたが日本人と結婚していても、あなたが日本で生まれていても、そしてたとえあなたが日本学の学位を持っていて
も、あなたの外見が日本人で無い以上、この危険な一言を言ってはいけません。
日本人は、その特徴的な文化や歴史に大いに自尊心を感じています。 「日本人は不可解だ」と言うガイジンの発言は、日本人の自尊心を十分満足させます。 日本では、西洋人が書いた日本学の本がかなり人気です。 なぜなら、そこに西洋人の誤解を読み取ることに面白さを感じているからです。 そして、「やっぱり私たちは特別な人種だ」と感じて満足するのです。 外国人として最良の姿勢は、「日本の市場や文化についてもっと学びたいのです」と云う態度を見せる事です。 日本についてあまり知らない振りをしたほうが身の為です。 ただし、あなたの日本人の同僚に、「このガイジンは日本の事をよく勉強して知っていま す」とお客様に言って貰うのは、大変重要で有効です。 なぜなら、基本的に日本人は日本人しか信用しませんから。。 この項目は第5項と若干矛盾しますが、外国から見た矛盾が、日本人同士では矛盾でないのが日本なのです。
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