魚原料のキャットフードはどうやってできるのか。 (ネコマンマで猫を殺す話）
ZLのキャットフードは毛皮を採った後の羊の肉を使っています。 年取った羊の肉マト ンは、まずくて、人間が食べないから、ペットフードになります。
人間が普通食べる羊の肉は ラムです。 マトンとラムは何処が違うかというと、生まれて12ヶ月までに殺して肉にするのがラ ム、それ以上年取ってから潰すのがマトンです。 この臭いマトン肉を、先進国で人間の食用に使っている珍しい例が、ジンギスカンです。
閑話休題
日本やアメリカのキャットフードは魚が多いですね。 今回はその魚で作るキャットフード缶詰の、お話をしましょう。
私は、アメリカ合衆国、タイ王国そして日本のキャットフード工場を、検査指導したことがありますが、一番綺麗なのは、タイの工場群、まぁまぁがアメリカ、日本の水産工場 は。。。。。 あまり褒められない。
今回は綺麗なタイ王国の工場の話しをしましょう。
私が行ったの首都バンコックのそばの工場と、タイ南部マレーシアに近い方の工場でした。
タイの工場がアメリカや日本の工場と比べて何より違うのは、人件費の安さから来る作業員の多さです、どこも２０００人とか3000人 とかがズラーット並んで、仕事しています。 それもそのはず、人件費、つまり給料が週に一人頭アメリカドル換算で2ド ル。 まぁ10年弱前の話ですがね。 まぁ、相変わらず安いのでしょう。 2003年で（平均6ドルだそうです）
で、ここに限らずですがツナ缶詰の工場は、、、、、ツナ缶詰って判ります？ ツナっているのはマグロのことです。 ツナって言うのは英語で、マグロカツオの類を言います。 で、多くのツナ缶詰の工場は、人間用の缶詰と、キャットフード用を同じ工場で作っています。 それはですね、血合いの部分は猫用に、白身の部分、つまり赤 身やトロの部分は人間用の缶詰になるのです。 なぜ赤身で無く白身と言うか。 赤身は蒸し揚げると白くなるからなんです。 鶏肉もそうですね加熱すると白 くなる。 鶏肉のように加熱すると白くなる海のものだからシーチキンと名づけたんですね、あの缶詰会社は。 なかなか良いネーミングだ。
脱線は置いといて。。。
では、ツナ缶詰はどうやって作るか ご説明しましょう。 まずマグロを取ってきます。 まぐろったって 長さが２ｍもあるような日本でトロを取るのに使うような大きなのではありません。 イエローフィンと呼ばれるような小型の、だいたい５０ｃｍくらいのを使います。 まぁこれも獲れたてを刺身にすれ美味しい赤身なんですけどね。
さて、獲るといっても一本釣りで釣る訳では在りません、網でどっさりとるのですが、これがまた実はうんちくの世界なんですよ。
漁船には網で獲る船にも、 一本釣りの船にも冷凍庫が付いています。 ただし、いわゆる船についている冷凍庫ですから、強力冷凍装置とはいえ一度に魚が入ってくると冷やしきれない。 ご存知のように魚を冷凍しようと思ったら、美味しく冷凍しようと思ったら、急速冷凍されることが必要です。
ゆっくり凍らせると、魚の筋肉のなかに氷の粒ができてしまいます。 そんな魚肉を溶かすと、美味しさが溶けた氷の水と一緒に流れ出てしまいますので、美味しさの何も無いものになってしまいます。 ですから急速冷凍しないといけません。
さて、網で取ると一辺に、 どーっと船に上がってきますから、それを一度に冷やせるだけの冷凍機の能力が必要です。 特に熱帯地方では海の表面に近い部分の海水温度が30度以上ありますから、魚の温度もそのくらいになります。 それをマイナス10度以下まで一気に冷やそうと言うのですから冷凍機は強力のなのが必要です。 知床の沖で、10度とか15度くらいの冷たい魚を引き上げようと言 うのとは訳が違います。 あったかいものを冷やすのと、すでに冷えているものを冷蔵庫で冷やすときの差と同じですね。 あったかいものは冷えにくい。
一本釣りといって、さおで一本づつ吊り上げる漁法があります。 網で取るより魚に傷が付かないので高級マグロを獲る際に良く使われますが、これは、また、いちどきに大量の魚が冷凍機に行って、冷凍機の能力がパンクして冷凍不良を起こすことの無いようにと云う昔の漁師の知恵なのかもしれません。 何しろ高級マグロと言うのは太いです からねぇ 冷えないの何の です。
魚が大きくなればなるほど、冷凍しにくくなりますから、冷凍機は大きくなる、冷凍機が大きくなれば船も大きくなる、船が大きくなれば、普通の漁師にはとても持ちかねる。 と云うわけで、漁業会社は大きくなりました。 昔は花形産業でしたね。
それでは、タイの漁船もさぞ巨大な走る冷凍工場なのか？ というと、これがまた違うんですね。 だいたいツナ缶詰にしようなんていうマグロははじめに説明した通り、小型のマグロで す。
船だって 日本の沿岸漁船の倍くらいの大きさの漁船です。 10人までは乗らないね と云う大きさ。 そんな小さい船で冷凍 機はどうするかっていうと。 これは小型の製氷機しか付いていない。 じゃぁなんで、大型漁船の話なんかしたか？ まぁ話の種です。
タイの漁船は出かけるときは船倉に氷をたくさん詰めて出かけていきます。 日本の沿岸漁船と同じですね。 とうぜん小さい船ですから、遠くまではいけないけれど、、、、いいんです。 いけなくて。。。 タイのシャム湾は小型マグロの宝庫。 朝出かけて昼に帰ってこれるわけです。
かえって来れないことがあります。 特大の大漁になるとかえって来れない。
漁船の網の巻上げ能力を超える超大量になると。 引き上げるのに半日かかってしまう。 網と言うのはエンジンから引っ張ってきた油圧や電動モーターで巻揚げ機械を動かします。 大量すぎると巻揚げ速度が遅くなって、巻き上げるのに6時間もかかってしまう。
30度以上ある海水の中で鮮度はどんどん落ちます。
こうなると、もう使えません。 叩き売りですね。 一般家庭用に売られていきます。 NZもそうですが、本当に良い品は国内 に出回りません。 輸出に使われます。
日本と一緒で、漁港の脇には水産工場。 ここに２０００人とかの人が居るわけですが。
水揚げした、氷付けマグロが工場に届きます
さて、
氷漬けのマグロが工場につきますと、まず最初に検品をします。 鮮度が良いかどうか調べるんですね。
そして、金属検知機を通ります。 釣り針などが残っていないか調べるわけです。 そして、マイクロバスほどの大きさの蒸気釜の中の棚にマグロを並べて蒸しあげます。
ここからが大人海戦術でして、
数千人の作業員が黙々と冷えたマグロの皮をこそげ採り、頭を落とし、三枚におろします。 骨と尻尾と頭は肥料として別の生産ラインへ流されます。 半身になった、マグロの肉の血合い部分と小骨をこそぎ落とします。 白い肉の部分が残ります、これが缶詰ラインへ送られて、人間が食べる、ツナ缶詰になります。
先ほどこそげ落とした血合い部分と小骨がキャットフードラインへ流されます。キャットフードラインではネコの健康に必要なビタミンやミネラルを足してミックスして、キャットフード用缶詰ラインに送られます。 ちなみに缶詰のキャットフードには保存料などは入っていませんので、缶を開けたらすみやかに使い切ってください。
キャットフード用ラインだからと言って汚い工場と言うわけでなく、人間用同様に清潔な工場です。 同じ工場では同じ衛生度を維持するほうが掃除のコストは安く付きます。 これは工 業の常識。 キャットフードラインだけ汚いなんて工場は無いわけです。
で、缶に製品を詰めて圧力釜で殺菌して、はいおしまい。 日本語のラベルをまいてコンテナへ詰めて日本のお客さんのもとへ送ります。
この他に人間の食べるツナ缶詰と同様の上等な部分を使った缶詰も有ります。 この場合は人間用の部分を使って作ります。 つまり金持ち日本人が札びらで貧乏国の顔をはたいて、相手 の普段食べているものをネコのえさにしようと言うことです。
ともあれ、外国の魚缶詰工場は日本の工場に比べれば綺麗ですよ。
日本のみなさんは国産品が大好きですが、外国品が皆危ないと単純に思うのは 南蛮異人を神国日本から放り出せと叫んでいた150年前の尊王攘夷の浪士と同じ発想です。
あまり頭が良くない。 みなさん賢い消費者になってくださいね。
おまけ
猫の尿路結石について
ねこの尿路結石は腎臓病の原因ともなる頭の痛い問題です。 だいたい早くて2歳くらいから、この症状は出てきます。 尿路結 石の単純原因は、おしっこのｐHが中性もしくはアルカリ性になり、尿管のなかに結石が出来やすくな るからです。 なぜ、アルカリ性になるのか？
答えは簡単。 えさの中の蛋白不足です。
ネコ科の動物は、新鮮蛋白食動物です。
ネコは犬と違って肉さえ食べてればOKな動物です。
そこへ、俗に言うネコまんま。 ごはんなどの炭水化物の方が多いえさをあたえるとたんぱく質不足になってしまいます。 たんぱく質不足になるとおしっこがアルカリ性になります。
アルカリ性になると結石が出来やすくなる というわけです。 と言うわけで、ネコの健康を考えたら、キャットフードだけを与えてやった方が良いですよ。
しかもいっぱい食べないとｐHが下がらないので、おなかをすかせて食べさせる為には運動をさせなければいけませんし おしっこをいっぱい出す為には水もたくさん飲まさなければいけません。
と言うわけで、ネコを家に閉じ込めてはいけません。 そとで運動させましょう。
つまり、あなたのかわいい猫を早死にさせてやろうと思ったら、ご飯を主食におかかでも掛けて、ネコマンマを作ってやればいいのです。
淡白不足で、おしっこが出にくくなり、腎臓を悪くして尿毒症で長患いして死んでいきます。
初出「北海道ブラインドハムクラブ」録音雑誌2004
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