足柄城

久しぶりに足柄峠に登りました。
足柄峠は鎌倉時代までは「主要国道」でありまして、防人に出される関東の人々が東国を振り返ったのはこの峠でした。
この峠の東側を矢倉沢と言い、矢倉沢と江戸鎌倉方面をつないでいたのが矢倉沢往還、今の246のご先祖様です。
足柄峠には足柄城、ニッチ砦、猪鼻砦で構成される後北条の山城の址があります。
秀吉の小田原攻めの際、有名な小田原評定の果てに、満足な補給も無く箱根峠南西麓の山中城とともに、あっという間に落城させられてしまった北条の山城のひとつです。
ここから見ると、松田山、西丹沢の松田氏の山城諸城も見渡せます。 
北条流の山城は、自然地形を利用し空堀や土橋を配し、関東ローム層のある場所では、踏ん張りの効かないツルツルの壁のような障子堀で郭をつなげるという、特徴的なものです。
写真は北側の大きな空堀の底から四の郭を見上げたところです。 たしかに高低差は取れていますが、なにぶん堀の幅が狭い。
弓矢の時代には難攻不落だったのでしょう、が、鉄砲には無力な設計で落城の憂き目を見ました。 抗戦を決定してまともな戦力を投入していればかなり防げたでしょうがねぇ。
城跡の整備はかなり悪く荒廃が進んでいます。 なまじクルマで行ける場所なので訪問者が多すぎるのでしょう。 冬は、山城の観察に適した季節です。 落葉して見通しがよくなっていますし、やぶ蚊や蜂に刺されることもありません。