煮えたワイン

プチバブル進行中のJAであります。 ありえない値段でゴミのようなものが取引されております。 まぁ、若いうち(あるいは初心者)は選択眼が貧しいので、誰でもゴミをつかんでしまうわけです。 (結婚なんぞはその際たるもので、離婚率の高さがそれを物語っております。 また、団塊がいきなり大型バイクに乗ってチンドン屋改造してしまっているのも典型的例ではあります。) 
ワインも日本酒も教科書片手にウンチクを傾けていても仕方なく、美味しさがわかるまで、ひたすら飲み続けるしかないのはご存知の通り。
だいたい欧州でテーブルワインクラスの値段で売られている品に1万円つけて、、、まさに「売る馬鹿、買う馬鹿」ですが、こんな滅茶苦茶な日本のワイン市場だから、どれが美味しいかわかるようになるには結構大変。
屑ワインが高級そうなラベルをつけて売られていたりする反面、名も知れない地域のワインなのでやたら安いが旨いというのもありまして、、、「かくしてワインは難しい」と敬遠され消費が伸びない。
PGJの住んでいたZLのギズボーンもホークスベイもワイン産地で、そんなところに7年も居れば、、、千本には届きませんが、数百本飲んでますねぇ。 我ながら呆れた。 まぁ、それだけ飲めば、飲んだワインの「当たり外れ」位はわかるようになります。
 
ここで重要なのは我々素人は「良し悪し」は判らなくていいということです。 ソムリエさんではあるまいし、自分の好き嫌いと値段のバランスが取れているかどうか判ればそれでいいと言うことです(それが当たり外れ)。

さて、こちらに示しましたワインのラベル。 これが旨かった!とか、これは製品的にどうか?言うのではなく、見ていただきたいのが「品質保証Reefer冷蔵輸入品」の文字。
これがどれだけの意味を持っているかと言いますと、、、
現代の消費財の国際物流はほとんど下の写真のような海上コンテナに頼っています。
この写真のようなコンテナ船の上甲板の最上段コンテナの場合、直射日光でジリジリに炙られて庫内室温は70度に達します。 貨物温度も缶詰食品の場合40℃に達し、ワインのような流動性の高いものはもっと高温になるでしょう。 
(温度の伝達は貨物の比熱と容器内、コンテナ室内の対流のしやすさで変化します。)

ワインなんて煮えあがってしまいますね。 そこで、Reeferです。 Refrigerator Containerの短縮語なんだと思いますが(たぶん)、これは冷凍食品を運ぶ為の冷凍コンテナと言うわけではなくて、-18℃から+25℃の間の設定された温度でコンテナ内の室温を制御しながら輸送できる冷蔵装置付きのコンテナです。
船から下ろしてもデバン(コンテナからの荷下ろし)まで冷蔵装置には電源が供給されつづけ、デバン後は温度チャート(温度変化記録)が回収され、温度が指定よりずれてたことが確認され、それにより貨物に変質が生じた場合は保険求償することになります。
コンテナ船は、荷揚げ地、積載港、船のバランスなどを色々勘案して、もっとも燃料効率と本線作業(港での作業)効率の良い場所にコンテナを積載します。 (このベスト積載位置決定プログラムを開発した会社は大もうけらしい)。
ワインに限らず、液体食品や飲料と言うものはコンテナを使う貨物の中では重い方です。 20フィートコンテナの制限最大積載量約20トンぎりぎり一杯まで積めますから。 重い貨物は下甲板へ積めるだろうから直射日光は大丈夫! なんてことは全く有りません! 
そこで、物量をこなしている輸入会社や輸出会社は、御得意様特別扱いで、「これはワインだから下甲板に積載しろ」とわがままを言って、普通コンテナに積載して下甲板に積載させます。 (普通のドライコンテナとリーファーは運賃が倍違います。 今欧州JA間はドライFCL1本で20万円くらい?識者の方教えて!) 下甲板ならうまくいけばコンテナ室温が上がっても30℃(だいたい海水温と船倉の温度は同じと考えればよろしい。 欧州からでもオセアニアからでも日本へ来るには、海水温約30度以上の赤道の海を通ります)ですから、製品温度も普通は30度までは達しない。 つまりFOB(工場出し)1000円程度のワインなら、これで十分です。
ところが年間10本程度(200トン程度)の僅かな量の輸入業者さんは、そんな特別扱いは船会社にしてもらえません。 そこで自衛策として煮えワインにならないようリーファーを使うわけです。
というわけで、独立系の酒屋さんは苦労しているようです。
無論、大口ユーザーで下甲板に漏れなく積んでもらえても、高級品や熱に弱いワインはリーファー使用が望まれます。 下甲板でも機関室の近傍は40℃まで行きますし、エンジンの振動や波濤との船体の衝突振動が製品の劣化を進めます。
上甲板で揺れるから下甲板の方が良いと思うのは外れていまして、コンテナ船は外洋航行時には左右15°づつ約1から2分で1往復揺れながら航行しておりまして、この揺れの影響は上下的位置はあまり関係ない。
むしろ、エンジン振動や、船体と波の衝突による衝撃のような周波数の高い振動のほうが酸化が進むんですな。
さて、なぜあのフランスのボルドーがここまで有名なったのか?
あれは熱や輸送に強いんですよ。 リーファーに入れなくても何とかなってしまう。 それで海上輸送したのに比較的旨いというので、昔から有名でした。
もっとも港のCY(コンテナヤード)で1週間通関待ちでドライコンテナを放置していたら、、、 日本の5月の日差しでも中身の温度は40℃を超えますから、さっさとデバンしましょう。 これで全損した食品輸入会社を私は知っているhi 
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ところで、ワインをデバンした後の保管条件も重要です。 せっかくリーファーで運んでも、、、、東京港大井の中堅輸入食品会社の倉庫で真夏に30℃以上になっている場所に保管されているワインを見たことがあります。 せっかくリーファー使ってもこれじゃぁねぇ。
というわけで、日本でワインを買うのは結構「難しい」
PGJの場合、とてつもない値段ではない「普通のワイン」は、ビールメーカーが輸入しておるものがワイナリー選択、輸送保管すべてで比較的無難であると感じております。

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