農学部の学生諸君

大学3年生が就職活動をせっせと初めているでしょうね。
東京の国大の工学系の学生さんと一緒に仕事していますが、ほとんど彼らは大学院へ進学だそうです。 90年代からそうだったので、相変わらずだなぁ。です。 私学でさえ理科系は2割が大学院へ進むものねぇ。
かくして、文化系と理科系の社会に出る際の基礎能力ってえらく違ってきてしまうのですが、さて。
我が母校は代々「名前が書ければ入学できる」という地方駅弁さえ無い大学でありまして、ましてや都会に遠く就職活動は難を極めるであります。 というわけで、とりあえず就職できればどこでも良い!という雰囲気がありまして、どいつもこいつも安売りすること。。。
世の中に価値のない仕事というのは数少ないですが、意外なほど足りていないけど尊敬もされん。というのが食品衛生実務に関わる仕事です。 先進国の消費者のレベルはどこも似たり寄ったりで有機栽培が安全とか考えている有様ですし、国産の食品は輸入品より安全と考えているのもどこも同じです。
営業部隊や経営陣もほぼその有様ですから、真の食品安全を科学する人は決定的に足りません。
ま、そういうわけで東京オリンピックはすべて食材を輸入して欧米のシェフに料理してもらわないと死人が出る。とか言われだしているようですが(そうかもね)。
このように、人材枯渇は何故残るか?
では政府統計を元にざっと見てみましょう
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1368900.htm
1 高等教育を受けた人の数
大学進学率は今は高校卒業者の3/4、昔は1/3。 乱暴にならして半分としましょう。
2 その内、農学部に進んだ数
大学進学者の3% 0.5 x 0.03
3 その内、食品科学、微生物学、公衆衛生学などを食品衛生に必要な学問を学んだ数
確かなデータはないが、2割くらいしかいないだろうと云う気がする
0.5 x 0.03 x 0.2
4 で、社会に出て実務とその分野の教育を受けた層
自分の勤め先では 1割 理系をとっても営業に行くほうが多いしねぇ。 工場で組織運営している人もいるしねぇ。 地方自治体の食品衛生吏員に至っては実務経験は期待できないので、公務員になった同期を除くと、さらに減る。 なんだかんだで0.02
0.5 x 0.03 x 0.2 x 0.02 = 0.00006
なんと人口の0.006% 60ppmしかいない珍種ということです。 さらに、修羅場をくぐった層になると30ppmですかね。
これに25-65歳までの人口を掛けると1,200人。
ちなみに弁護士は6,600人 医師は38万6千人
というわけで、農学部の諸君。 皆さんは金の卵よ。 安売りしないで自分を高く売れよ。

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