ナラ枯れ

写真の茶色い木々の半分以上は紅葉ではありません

なら枯れ病による枯死です。 (尾根寄りの樹々)
    
葉を付けたまま干し殺しになるのが なら枯れ病
導管が詰まって水不足で「あっという間」に枯れます。
かつて田舎の林に限られていたカシノナガキクイムシが伝播させる「なら枯れ病」は全国制覇を目指し、いまやこの植物の感染症に無縁だった最後の拠点関東へ進出中です。
燃料として楢や椎で薪炭を作り利用していた時代には問題化しなかった「なら枯れ病」ですが、それらの木を使わなくなり巨木、古木化してきた(病気に負けやすくなった)ので目立つようになりました。
箱根山地はとっくにやられ箱根山地の東側平野部でも拡大中です。
今どきは紅葉で目立ちませんが新緑のシーズンに箱根新道を登りで北側の斜面(下地図のあたり)を見ると顕著にわかります。

地元関係者によると「見つけて切るしかなーい」そうで、ほとんど二次大戦中のバケツリレーと同じ状態。
殆どの地方自治体は何も考えられないのだし、被害は全国的に広がっているしで、林野庁なり環境省なりで指針でも出さないと無理でしょ。 と思ったら、
日本森林技術協会でも対策マニュアルを
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070700/byougaichu/index_d/fil/taisaku_manual.pdf
森林総研で面制圧手法を出してるじゃないの
https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/3rd-chuukiseika26.pdf 
方法はある。 
後は実施する予算と実施方針ですね。
箱根に関しては対策を主導すべき箱根山地周辺自治体(箱根町、湯河原町、小田原市、南足柄市、小山町、裾野市、三島市、函南町)の人材不足ですなぁ 
各県の農政環境部局に働きかけてエイヤ!をしないと。
所有者のわからん山林の樹を切れんとか、国立公園内で樹がきれんとか、殺虫剤の使用に自然保護団体が五月蝿いとか、殺虫剤の風評被害で客が来なくなるとか、ここいらの問題を国で整理してやらんと無理。
COVID19のバカ騒動でも見られましたが、地方自治体には決めらんないよ。
発祥の地、兵庫県では、この有様。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk22/documents/jissihousinn.pdf
被害木を見つけて燻蒸って、なんとも非効率。 
もっとも、ナラ、カシ、クリの類があらかた枯れてしまえば、自然に減少するでしょうから、それを待てばいいという話もありますけどねぇ。
何しろマツクイムシのときのように空中散布で殺虫剤を撒きたくてもナラ枯れ病には空中散布は非効率過ぎて使えないのでして。
ブナ科植物に広く感染するのですがブナ科でもブナ族には発生しないそうなので、日本の山地が丸坊主になるリスクは低いと思われます。
リスク = 危害 x 頻度
とは云え市街地で大木が枯死すると倒木で死人が出たりするので、そちら方面のリスク管理は必要です。

Share from here.