BCP

洪水被災地の企業各社凄いことになっています。
衷心よりお見舞い申し上げます。
   
今更ですがBCP = Business Continuity Plan。 
日本語で言う人は、ほぼ居ませんが事業継続計画です。 
天災は言うに及ばず、暴動、ストライキ、停電、感染症の発生などを前提に会社の運営が止まらないように準備万端整えることです。
エネルギー供給に限って言っても、311地震の時は某食品会社では、フクシマが破裂して2日後には全国内事業所にガンマ線センサーが配布され、計画停電が始まると数日の内に日本有数の食品工場を回せるジェットタービン発電機が海外から届きました。
これらは、イザというときに準備万端整えられていたものでした。  
311からひと昔。今時の産業の米はデータです。 日本国中にサーバーコンピューターがズラズラ並べられたデータセンターがあります。レンホーさんがクラウドクラウド騒いでいるあれです。
その手の施設のエネルギーBCPも凄いもんです。 普段の電力の供給は複数変電所から。 電力会社からの電力供給が落ちて停電しても発電機が自動的に起動します。 
多くのご家庭のデスクトップPCに繋いであるUPSは電源瞬断でもPCを落とさず、作業中のデータを守りつつ安全にシャットダウンさせる便利な機械です。では、小さいデータセンターで2,000台のサーバーの電源が落ちたら? ディーゼルなりジェットタービンなり発電機が定常回転するまでの2分-5分を安定して繋ぐために概ね100KWhのUPSが必要です。 私のシャックのUPSは300Whしかありませんから、数分を繋ぐだけとはいえ凄い容量です。
ZL Napierの電話局のバックアップ電池室を見せてもらった事がありますが、100平米以上の部屋に鉛蓄電池(大型トラックに使っているドデカイやつ)がズラリつながっていました。 それで5万人の街の電話回線を48時間支えるのだそうです。 で、その間に発電車に来てもらう。 そう、20年前のZLは金がないので施設施設に発電機を置く余裕がありませんから、そういう工夫をしていたんです。
さて、発電機ですが、アマチュア無線の移動運用では 入力13.8V 100Wを出す為に800Wのガソリンエンジン発電機を回すと、数時間に1度給油せねばなりません。 給油している間はエンジンを止めますから、発電機からの電気が来ない間はカーバッテリーで送信する手もありますが、PGJは単純に停波。hi
では工場のようにバックアップ用巨大発電機を設置し、イザというときに、それを回している場合、給油はどうするのか? 
「大きなタンクがあるでしょ。」
はい、その通り。 でも、
https://www.yanmar.com/jp/energy/emergency_generator/products/ey33.html
このくらいの発電機になると 毎時400リッターくらいの燃料を食います。 ドラム缶2本/毎時ということ。
https://www.yanmar.com/jp/news/2011/03/30/812.html
では、そのタンクへの給油は? 1週間回せる量の燃料は消防法に引っかかり、そうそう保管できません。 例えばディーゼル発電機の場合の燃料は重油。 重油は消防法上の「危険物 第四類 第三石油類」で指定数量は2,000リットル。 指定数量いっぱいでも5時間でタンクは空ですから、消防署の許可をとって大きめのタンクを置くでしょう。 でも持って数日。
そう、追加の給油は燃料会社に注文しないとタンクローリーが来ません。 しかし、バックアップ用非常発電機は普段は燃料を食いません。 つまり非常用設備の施設は燃料屋にとってお得意さんでは無い。
イザ災害のときに地元の業者はお得意さんを大事にします。 そこで、場所的な遠近含めて最大優先でローリーを回してくれる業者と契約を結んでおかないといけません。 場合によっては「時価の倍で買う」みたいな契約もあるかもしれません。 遠近の業者と契約しなくてはいけないのは近くだけだとともに被災するかもしれないからです。
こういう契約ができていないと、イザというときに複数の社員があちこちに電話しまくったり、ドラム缶積んで走り回ったりするはめになります。
発電機を置いて安心している自治体に千葉県というのがありましたね。
あんな前世紀のガソリン発電機が動くのかよ? でした。
発電機は燃料がないと鉄の塊です。

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