難民にならない人々

転職ゴロなPGJは海外、国内ともに転居を伴う転職をいろいろ経験しております。
「仕事がないんだから、住んでいられないんだから、仕事と住む場所のある所へ行かなくては仕方ないだろう」という自分にとっては当たり前の感覚なのですが。
311地震のみならず天変地災で地域が荒廃された方々は少なくない数の人々が「暮らせる場所」へ移動されています。 が、少なくない人々が「生まれ育った」場所に居続けたいと言っているのも報道でよく見ます。
これは、
「がんばって居続けます」が絵となり記事としやすいからで、実勢の数は「とっとと逃げ出したよ」の人口が多いにもかかわらず、このような報道になる。
というのもあり得る話です。
なにしろ日本の報道機関の劣化ぶりはひどいもんですから。
一方、本当に根が生えたように暮らす人が居るのだねぇ。 と言うのは、小説を読んでの実感。
むろん小説で歴史書ではないけれど、かつての同僚部下のご先祖様の話と思うとへぇ。 と思う。
旧駿東郡(現在の駿東郡と、御殿場市(JCC1816)、裾野市(JCC1821)とその周辺を足した地域 くわしくはこちら)には、カツマタさんと杉山さんがやたらと多い。
カツマタさんは複数の名字があり、勝間田、勝俣、勝又、勝亦で、トータルの画数が多い方が格式が上と言うことになっているらしい。 その勝間田さんが御殿場の今の東富士演習場辺りに移り住んだのが15世紀に今川家に負けたからで、それまでのご先祖の城はここだったそうです。

戦国時代も終わって江戸時代は宝永年間。 富士山が噴火して駿東郡はすっかり火山灰(スコリア)に埋もれてしまいます。 その厚さは数十センチから1m越までと激甚で、機械化力の無い時代のことですから、その復旧は地域分野によって異なりますが最大で100年かかっています。
驚くのは前述勝間田さん一党があの噴火を乗り越えて地域に残っているということです。
難民にならない人々です。
駿東郡のみならず、足柄上郡(現在のJCG11002)と、南足柄市(JCC1118)の全域、小田原市(JCC1107)秦野市(JCC1112)の一部、詳しくはこちら)でも、スコリアの除去はえらい騒ぎで、畑に穴を掘り、火山灰を埋め、掘り出した圃土をその上に被せると言う大土木工事を行っています。
参考の画像資料
そんな手間をしてでも、自らの田畑を守りたいという、そこに居たいという、物凄い熱意には驚くばかりです。 農家のDNAなのか? 日本人のDNAなのか? (ここでいうDNAとは生物学的にいうところのデオキシリボ核酸ではなく文化的習性と言う意味での比喩)
そんなことを思いながら読んでいました。  新田次郎 怒る富士。
  
ところで、富士山宝永噴火のスコリアは現在も南関東の土木上の頭痛の種です。 なにしろ崩落崩壊しやすく、たとえば丹沢山地は風化花崗岩土壌の上にスコリアが載って、ただでさえ崩れやすいところのに、大正関東大地震で山体が傷み崩れやすくなったうえに、戦後高度経済成長期に酸性霧で表面植生が傷んでしまい無限治山工事から抜け出せません。
神奈川県営大野山放牧場も表土が崩壊流出し、放牧場としての機能が失われています。 すぐ隣の静岡県小山町辺りに圃場でも借りてやった方がよほど経済的かつ効果的と思うのですが、北海道などと違って優秀な人材が農業に行かない首都圏では、そんなことを考える人材は地方政治にも行政にもいないようで。
富士山が噴火したら、宝永噴火の再演です。
酒匂川はまた氾濫。 小田原、南足柄周辺は見事に洪水平野に逆戻り。 2015年鬼怒川洪水と同じことが起きます。
「BCPを考えたら足柄平野に工場を建てる会社は馬鹿だね」とはXYLです。
どんな工場があるか?
アサヒビール https://www.asahibeer.co.jp/brewery/kanagawa/
足柄香粧 http://www.ashigara.co.jp/
富士フィルム http://as.chizumaru.com/ffshop/detailmap?account=ffshop&accmd=1&bid=980242
が、同時に「もっとも、富士山噴火したら日本経済ダメダメで、どこに住んでいても大損害。 日本を逃げ出すしかない。」とも言っております。
どうやら、我が家は難民にさっさとなってしまう家族のようです。

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